楽しむ者に如かず。

カタチに残したい。CREATORになるための勉強。最後に書いてあるのはスヌーピーの名言です。

伊坂幸太郎執筆「モダンタイムス」の感想。「小説じゃ世界を変えられない」

こんにちは。大学生のyosukeです。

バタバタしていて、なんだか久しぶりの更新。

 

今日は書籍の紹介でも。。。。

 

モダンタイムス

今日、紹介するのは私の大好きな作家である、伊坂幸太郎が執筆した

「モダンタイムス」です。

 

本あらすじ

恐妻家のシステムエンジニア渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには、不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していったのだった。

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

 

 この本の主人公は、システムエンジニア渡辺拓海。渡辺が謎の大男に拷問されているところから、この物語は幕をあける。

 

なんで拷問されているかって?

渡辺が浮気をしたからである。

渡辺は、恐妻家だ。その奥さんは、美人で器量が良く、夫の事を愛している。まさに、妻の鏡のような登場人物だ。

しかし彼女は、浮気を”絶対”に許さない。

 

渡辺の奥さんである、佳代子は、渡辺と結婚する前にも二人の亭主がいた。

しかしながら、一人は死亡し、一人は行方不明。なぜなら、浮気をしたからである。

佳代子にとって、”浮気”は重罪なのだ。

そして、渡辺も拷問されている。なぜなら、浮気をしたから。。。。

 

と、

1ページ目から伊坂ワールド全開の本書。

本のあらすじを読んで、まさか1ページ目から主人公が拷問されているなんて誰が予想できよう。

 

しかしながら、この出だしでも違和感ないのは、伊坂幸太郎の魅力であり手腕だなあーと思ったりする。(渡辺はちゃんと拷問切り抜けました笑)

 

主人公の仕事はSEである。その請け負った仕事の関係で、国家レベルの陰謀に巻き込まれていく。

恐妻家の渡辺は、大きな”国”という組織にどう立ち向かうのか!?

 

的なお話。(ざっくり)

だって、ネタバレになっちゃう。。笑

 

こんなざっくりな紹介ですが、本当に面白い小説なので、是非読んでみてはいかかでしょうか(・ω・)ノ

 

感想(ネタバレ)

ここからは、ガンガンネタバレしていきます。

この本を読んでみようと思っている方は、この部分はさっと読み飛ばしください。

良かったらシェアボタンも押していってください。笑

 

伊坂幸太郎は、国家VS個人という構図をよく描く。

「モダンタイムス」の50年前の世界を描いた「魔王」や、

首相暗殺の罪をかぶせられる「ゴールデンスランバー」等。

 

国家という大きな組織が、国民である小さき自分に敵として立ちはだかった時、どうすればいいのか。立ち向かうのか。逃げるのか。

 

「モダンタイムス」は私たち読者にそういう疑問を投げかけているのかなって思ったりする。

主人公の渡辺は国にたくさん振り回され、最終的にはいろんな情報を絶って、田舎に隠れるように住む結末を迎える。

 

それが、渡辺の「国家が自分に立ちはだかった時」の答えだったんですね。

事件に関わったことにより、国家の秘密をたくさん知ることになった彼だけど、それを全部しらないふりをして、田舎で情報を絶つことを選んだ。

 

もし自分が、国家に立ちはだかれた時私はどんな選択をするんだろうと、考えずにはいられませんでした。

 

もうひとつ、この小説で印象的にシーンがある。

この物語には、「井坂好太郎」という人物が登場する。

著者の「伊坂幸太郎」と同じ名前である。

伊坂幸太郎同様に、本を書くことを生業としている人物だ。

「井坂」を伊坂幸太郎は、軽薄で胡散臭い作家として描いている。

(それが、またこの小説の魅力でもあるんだけど)

 

その井坂が、作中で死ぬ間際に渡辺に対してこんなことたちを言っている。

「俺が小説を書いても世界は変わらない」

「そうだな、百点満点で言えば、五十点だ。が、上出来だ。作家の真意は三割ほどしか伝わらないものだからな」

 

井坂は、自分の取材内容を小説にして、国家の仕組みを誰か一人にでも伝えようとして小説を書いた。そして、その小説を主人公の渡辺に託すのですが、

 

私、はじめて「モダンタイムス」を読んだとき、この台詞を見て衝撃が走ったんですよね。 

 

作家って何か小説を通して伝えたいことがあるんだ!って。

 

私、この小説を読むまで、小説はあくまでコンテンツを楽しむ感覚だったんですよ。物語の世界観に引き込まれていくのを楽しむ、みたいな。

 

だから、その物語を書く小説家が、物語を通して何かを主張しているっていう考え、露ほどにも無かったんです。

 

今まで、ただ物語の世界観に引き込まれることだけを楽しんでいた私ですが、「モダンタイムス」に出会ったことにより、

 

この小説家は、小説を通して何を伝えたいんだろう」って考える楽しみを見つけることができました。

 

そのため、「モダンタイムス」は私に新しい本の楽しみ方を教えてくれた、忘れられない1冊となりました。

 

作中の”井坂好太郎”は、小説を通して、世界の仕組みを伝えようとしました。

じゃあ、現実の”伊坂幸太郎”は、小説を通して何を伝えようとしているんだろう?

伊坂幸太郎の小説を読むたびに、その事について考えさせられます。

 

最後に

「モダンタイムス」では、チャップリンの映画からある台詞を引用します。

 

その言葉は、私のお気に入りの言葉です。

 

「人生を楽しむためには、勇気と想像力とちょっぴりのお金があればいい。」

決断する勇気と、相手を思いやる想像力と、生きていくためのちょっぴりのお金。

 

やっぱり、伊坂幸太郎はサイコーだなって。

 

今日はここまで!

読んでいただきありがとうございました(・ω・)ノ

yosuke

 

何も期待しなければ、何も得れない

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